NHK「全ウルトラマン大投票」の感想

全ウルトラマン大投票感想

去る2022年9月10日、NHK BSプレミアムにて「全ウルトラマン大投票」が放送された。

番組はとても面白く、童心にかえったような2時間を過ごせたので、ここに感想を記録しておきたい。

「全ウルトラマン大投票」はドキドキワクワクにあふれた2時間だった

「全○○大投票」とは、NHK BSプレミアムにて2018年から放送しているランキング番組だ。

今までにガンダムやプリキュア、仮面ライダーなどの作品をテーマに取り上げ、視聴者は好きな作品やキャラクターに投票できる。

NHKでは、2022年4月に沖縄本土復帰50年ドキュメンタリードラマ「ふたりのウルトラマン」、初代ウルトラマンのエピソード再放送、さらに7月には「歴史秘話ウルトラマンヒストリア」と、立て続けにウルトラマン関連番組を放映してきた。

映画「シン・ウルトラマン」も5月に公開され、「ウルトラマンデッカー」も7月に放映開始し、世はまさに大ウルトラマン時代。

そこで、満を持しての「全ウルトラマン大投票」である。

まさに2022年にふさわしい番組といえよう。

出演者の方々は以下のとおりだ。

【司会】

・西川貴教さん

・杉浦友紀さん

【ウルトラマンシリーズゲスト】

・つるの剛士さん(『ウルトラマンダイナ』アスカ・シン役)

・杉浦太陽さん(『ウルトラマンコスモス』春野ムサシ役)

・平野宏周さん(『ウルトラマンZ』ナツカワ ハルキ役)

【ファンゲスト】

・佐野史郎さん

・風見しんごさん

・関智一さん

・潘めぐみさん

【解説】

・井上伸一郎さん

さらに、以下の方々がVTRで出演された。

【VTR出演】

・黒部進さん(『ウルトラマン』ハヤタ・シン役)

・森次晃嗣さん(『ウルトラセブン』モロボシ・ダン役)

・長野博さん(『ウルトラマンティガ』マドカ・ダイゴ役)

公式TwitterでVTR出演者が発表されたとき、ネットが騒然となったことは記憶に鮮やかだ。

放送は夜の10時だったが、当日の夕方からすでに私はドキドキしっぱなしであった。

ベスト10には何がランクインするのだろう?
ベスト5には、ベスト3には?

私が投票した推しはいったい何位になるのだろう?

かつて隆盛を極めたアイドルの選挙でも、ファンはこのような心持ちだったのかもしれない。

ランキングの結果発表を受けた感想

番組は素晴らしいものであった。

私は仕事をしながら番組を見るつもりだったのだが、 あまりに面白くて1秒たりとも見逃せず、結局「全ウルトラマン大投票」に全集中することになった。

ウルトラヒーロー、ウルトラ怪獣、ウルトラメカの最終的なランキングは、以下の公式ページから見ることができる。

 参照リンク:全ウルトラマン大投票 最終結果発表

ここでは、ランクインした各キャラクターたちに私が思ったことを述べていく。

なお、すべてのキャラクターに言及しているわけではないため、その点はご了承願いたい。

ウルトラヒーローランキングを見て

19位:ゾフィー

ゾフィーは、ウルトラ6兄弟の長男であり、ウルトラ警備隊の隊長であり、宇宙最強の威力を持つというM87光線の使い手というハイスペック戦士であり、初代ウルトラマンの最終回では瀕死のウルトラマンの命を救うという大健闘をした男である。

そのわりに、ウルトラマン関連の番組では言及される機会に乏しいキャラクター、というのが私の認識であった。

同じNHK番組の「歴史秘話ヒストリア」でさえゾフィーへの言及は一切なく、前知識がない視聴者がヒストリアを見てからウルトラマンの投票対象一覧を見たとしても、ウルトラマンとウルトラセブンに挟まれた”ゾフィー”なる人物が誰なのかまったくわからないと思われた。

だが、「全ウルトラマン大投票」ではゲストたちが思い思いにゾフィーへの感想を語っていた。

ネットでネタキャラとしてよく擦られているというイメージも持っていたため、テレビ番組でここまで熱くゾフィーに言及されるというのは新鮮だった。

私はゾフィーより先に「シン・ウルトラマン」のゾーフィやタローマン2号を摂取してしまったため、「ああ、彼がゾーフィたちの元ネタの…」という認識がまさってしまうが、ゾフィー兄さんは強くて優しい魅力的なキャラクターだと聞いている。

今後の作品履修で、ゾフィーについてより詳しく知っていくことを楽しみにしている。

ところで、「ウルトラマンごっご遊びでは、みんながゾフィー役をやりたがった」って本当なんですか?

15位:ウルトラマンジード

私は作品は未視聴だが、ウルトラマンジードは「ウルトラヒーローズEXPO 2022 サマーフェスティバル」の後期ステージで活躍していたので、印象深いヒーローである。

番組で潘めぐみさんからウルトラマンジードのネタバレをガンガン聞かされることになったが、大丈夫だ、問題はない。

有識者から教えていただいた話では、ジードのキャラクターたちはアーサー・C・クラークやレイ・ブラッドベリなど、SF作家たちの名前をモチーフにしているとのことで、SF小説ファンとしては非常に興味深い作品だ。

なお、ジードを演じた”プロ”こと濱田龍臣さんは、仕事のため途中までしかリアタイ視聴できなかったようである。

15位おめでとうございます!

11位:ウルトラマンA(エース)

本来の名前は「ウルトラエース」だったのが、商標権の関係でウルトラマンエースになり、ウルトラセブンが浮くことになったというエピソードで印象深い作品である。

男性と女性が合体してウルトラマンに変身するというのは、今ほどジェンダーの議論がなされていなかった当時、「性差を超えた完全な超人」を出すというのはかなりの挑戦だったと推察する。

結局、さまざまな意見を受けて男女合体は途中でやめることになってしまったようだが、「ウルトラマンに変身する女性」の先駆けとして関心がある作品だ。

10位:ウルトラマンコスモス

「歴史秘話ヒストリア」を見たときから、大変興味があるウルトラシリーズ作品だ。

「調和」「平和」「和解」といったキーワードを好む私にとって、怪獣を倒さずに浄化するウルトラマンがいる、というのは嬉しい。

ゲストの杉浦太陽さんが言及した「唯一怪獣を倒してしまった回」において、主人公が絞り出すように叫ぶ「力は優しさを消してしまうのか」というセリフが印象的だった。

なんて哀しいセリフだと思うと同時に、時代を超えた普遍性を持つ問いであり、社会への問題提起だと感じる。

コスモスも、これから見るのがとても楽しみなウルトラ作品である。

9位:ウルトラマンタロウ

かつてウルトラマンたちの区別がつかなかった私でも、2本のツノと「太郎」といういかにも日本な名前が印象的だったため、マン、セブンと並んで識別できていたヒーローである。

昭和のウルトラマンのなかでは、突出して女性人気が高いという。
末っ子属性があって、母性本能がくすぐられるらしい。そういうもんでしょうか(未視聴)。

投票の男女比が7対3と、確かに女性からの投票割合は多いようだ。

なお、全ウルトラマン自体の投票の男女比は8対2だという。
数字を見ると、やっぱりウルトラシリーズは男性ファンが圧倒的に多いのだなということを実感させられる。

ウルトラマンタロウは少年時代と成長過程が実写作品で作られていることもあり、少年漫画の主人公のようなイメージを持っている。

ただ、私は「シン・ウルトラマン」を見た直後になんとなくググってタロウの生首が飛ぶ画像を見てビビりまくった人間であるため、ちょっと見るのが怖かったりする。

8位:ウルトラマンネクサス

解説の井上伸一郎さんが、ものすごく強火で推しているのが印象に残った作品である。

思わずTwitterでネクサスの放送当時にいったい何があったのかと呟いたところ、有識者の方々から親切に教えていただくことができた。

子ども向けの朝番組にしてはグロテスクでハードな物語であり、当時はいろいろと物議を醸したようだが、それでも8位という順位から人気の高さがうかがえる。

大人ファンからの評価は非常に高く、大団円へ向けた盛り上がりはウルトラシリーズ随一とも聞くので、興味を惹かれるウルトラマンだ。

余談だが、ネクサスはウルサマの特別なウルトラショットで登場し、ネットで話題になったウルトラマンノアが登場する作品だと聞いている。

ちょうど先日、初代ウルトラマンで「ノアの神」の登場回を見たので、「ノア」というワードに敏感になっていたところだ。

ただ、初代ウルトラマンで言及された「ノアの神」はどうもゾフィーのことらしいという噂も耳にしているので、早く真相を確かめたい。

7位:ウルトラマンオーブ

歴代ウルトラヒーローの力を借りられるという設定は、今考えても膝を打つ。

オーブ以前にも、昭和時代から先輩ヒーローたちが客演で登場することはあったようだが、 「時代の架け橋」という点において、ウルトラマンオーブが果たした役割は非常に大きかったと想像する。

昭和初代のウルトラマンと平成初代のウルトラマンティガ、”W初代”の力を融合させて新ヒーローが変身するという映像を見たとき、当時のウルトラシリーズファンたちはいったいどんな気持ちだったのだろう。
機会があれば、ぜひお話をうかがってみたい。

さて、ウルトラマンオーブは、ウルトラ怪獣ランキング第2位に輝いた「ジャグラスジャグラー」が登場する作品だ。

ジャグラスジャグラーが2位にランクインしたとき、Twitterのタイムラインが急流と化したのには笑った。本当に人気があるのだとわかる。

ファンの方によれば、「それでも1位にはなれないのが、いかにも彼らしい」そうだ。

5位:ウルトラマン

私の最推しのウルトラマンは5位であった。
納得できません!!!(初代ウルトラマン強火担)

ハヤタ・シン役の黒部進さんも、VTRで「納得できない」と優しい笑顔ながらも負けず嫌いなコメントを寄せてくださったのが大変よかった。

ハヤタ退院がスプーンでウルトラマンに変身しようとしたシーンが印象に残っているという言葉には、思わずこちらも笑顔になった。

初代ウルトラマン、すべての始まりであり、レジェンドであり、私にとって原点にして頂点だ。

NHKの番組では5位だったが、私のなかではウルトラマンが1位の座に輝いている。

4位:ウルトラマンゼロ、3位:ウルトラマンゼット

4位がウルトラマンゼロで3位がウルトラマンゼットという順位には、正直驚いた。

勝手ながら、ウルトラマンゼロが1位になるものと思っていたからだ。

Twitterを見るかぎり、同じように感じていた人は少なくないように感じた。

「自分が票を入れなくても、ウルトラマンゼロは人気があるから1位になるだろう」と考え、別のウルトラヒーローに投票したという人も見受けられた。

同じような現象は、実際の衆議院や参議院の選挙でも起こるので、ちょっと面白い。

そういえば、私はウルトラマンゼットがウルトラマンゼロより身長が高いということを知らなかったので、 2人が並んだとき、弟子のほうが師匠より背が高いことにびっくりした。
思い込みというのは怖いものである。

2位:ウルトラセブン

3位までが発表されたとき、セブンとティガの2人が1位の座を争うということは分かっていた。

自分の最推しであるマン兄さんが5位だったのはくやしいが、順位としては納得だ。

スタジオに登場したウルトラセブンは重厚な貫禄をただよわせており、腕組みをしながらゲストの話にうんうんとうなずく姿は大変渋くてかっこよかった。

モロボシ・ダン役の森次晃嗣さんもVTRに出演し、悩みながらも、長らく愛される作品に出演できた喜びをコメントしてくださっていた。

それにしても、黒部さんも森次さんも順位にくやしがり、しっかりと自分のヒーローを推してくるところが微笑ましく、大切にしてくれているのが感じられてとても嬉しい。

1位:ウルトラマンティガ

バチバチの1位争いを制したのはウルトラマンティガであった。
これも納得の結果である。

私はウルトラマンティガは未視聴だが、TLの盛り上がりを見るだけで、いかに評価が高く、ファンの心に根差した作品であるかがうかがえた。

ウルトラマンティガのデザインはシュッとしていて、カッコイイと思う。
光の国基準でも明らかにイケメンだということが分かる。

番組では。主人公のマドカ・ダイゴを演じた長野博さんがVTRで出演なさった。

ジャニーズは規制が厳しく、写真を載せることも難しい中で、V6の長野さんが出演できたのは番組スタッフの方々の相当な努力があったのではないか。

V6ファンの方によれば、長野さんはコンサートでも楽しそうにティガについて話しており、他のV6のメンバーもウルトラマンになった長野さんの話をよくしていたという。

自分がかつて出演した作品を大切にしていらっしゃるということは、ファンにとっては何より嬉しいものだ。

「ウルトラファミリーをよろしくお願いします」というコメントには、温かさがあふれていた。

それにしても、長野さんは今年で50歳ということだが、まったく年齢を感じさせない若々しさはさすがであった。

ウルトラ怪獣ランキングを見て

1位:ゼットン

ウルトラヒーロー部門ではウルトラマンが1位を逃して大変くやしかったものの、 ウルトラ怪獣ランキングでは初代ウルトラマンの最後の敵・ゼットンが1位に輝いてくれたので大変嬉しい。
やったねゼットン!きみが1番!

ゼットンは最終回でウルトラマンを倒したために恐怖の対象とされているが、私はあのボヨッとしたフォルムがなんとも愛らしいと思っている。
特におててがかわいい。

スタジオに登場して場を破壊するかに見えたゼットンだが、空気を読んで画面のランキングを興味深そうに見上げていたのも、大変かわいらしい。

「宇宙恐竜」とも呼ばれるゼットンのどこに恐竜要素があるのか私はいまだに分かっていないが、地球の恐竜とは概念が違うのかもしれない。
火星人のイメージが、地球人とは似ても似つかないように。

15位:メフィラス星人

推しのメフィラス星人は15位であった。

ベスト10に食い込めなかったのは残念だが、それでも登場回のシーンを流してもらい、さらに司会者やゲストの方々からコメントをもらえるという特別待遇を受けて喜ばしい。

ウルトラマンの敵としてはバルタン星人が圧倒的な知名度を誇っているが、ウルトラマンの最大のライバルといえば、私はメフィラス星人だと思っている。

ウルトラマンと引き分けた男であるし、バルタン星人やダダ星人がメフィラスの手下みたいな扱いをされていたこともある。

もちろん、 「シン・ウルトラマン」において大活躍したメフィラス山本の影響はかなり大きいだろう。

メフィラスが大注目を集めた2022年、今後ますますメフィラスがウルトラマン作品において大活躍することを祈願したい。

ここまで人気があるのに、メフィラスのソフビやフィギュアが今現在販売されていないらしいのが残念なので、メーカー様、ぜひともまた販売をよろしくお願いします。

98位:ザラブ星人

なんでや!!!ザラブちゃん可愛いやろ!!!

13位:ウルトラマントレギア

ウルトラマントレギアが13位というのは少々意外であった。

私はアーリートレギアしか知らないので詳しいことは語れないが、Twitterを見ているかぎりでは、ものすごく人気があるヴィランという印象だったので。

とはいえ、13というのは悪魔の数字なのでぴったりだと思います。
おめでとうございます。

きっと次がありますよ。

スタジオに登場するウルトラマンと怪獣、突如始まるヒーローショー

番組スタジオには、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンゼロ、ウルトラマンゼット、ウルトラマンティガと、ベスト5にランクインしたウルトラヒーローたちが登場してくれた。

さらには、ゼットン、ゴモラ、バルタン星人までも登場した。 

嬉しかったのは、スタジオで始まったヒーローショーだ。

始めはウルトラマン1人で3体と怪獣と戦うかに見えたが、ウルトラマンゼロとウルトラマンゼットが加勢して3対3に。

ウルトラマンを真ん中に、ゼロとゼットが並んで怪獣たちに立ち向かう。

マン、ゼロ、ゼットの3人組はちょっと珍しい組み合わせであるし、何より大好きでカッコいいヒーローたちが力を合わせて戦う姿を見られて眼福だった。

また、愛らしいマスコット的怪獣のピグモンとカネゴンが、番組のタイムキーパーの役割を果たしていたのが微笑ましかった。

せっかく順位が12位のピグモンと14位のカネゴンに挟まれているので、Twitterでどなたかもおっしゃっていたように、13位のウルトラマントレギアも「そろそろ次へ」のカンペを持っていてもよかったと思う。

ウルトラマンへの愛が伝わってきた出演者の方々

つるの剛士さん

つるのさんからはダイナの撮影の裏話をいろいろ聞けて、とても興味深かった。

つるのさんがあまり動けなかったため、その後オーディションでは体力テストがおこなわれるようになったという逸話には思わず笑顔になった。

ウルトラマンダイナ25周年、おめでとうございます!

杉浦太陽さん

爽やかで穏やかな雰囲気が印象的だった、杉浦太陽さん。

ウルトラマンコスモスをイメージしたであろうブルーの上着からも、コスモスへの愛と誇りが伝わってきた。

つるのさんたちゲストとのやりとりには笑わせていただいた。コスモス見ます!

ウルトラマン最高です!」(オフィシャルブログ:太陽のメッサ○○食べ太陽)

関智一さん

今のウルトラマンエースの声も担当されている、声優の関智一さん。

コメントの端々からは、ウルトラマンに対する熱い想いを感じることができた。

関さんとウルトラマンゼロのコント的な掛け合いも大変面白かった。

関さんがウルトラマンゼロの決めゼリフをしゃべるも、ウルトラマンゼロは無反応。

「ポーズやれよ」と叫ぶ関智一さんと、宮野真守さんの声じゃないとイヤなウルトラマンゼロが喧嘩するという珍光景がNHKの電波から発信されることになったのである。

平野宏周さん

ウルトラマンゼットは今のところ2話まで見たが、役を離れた平野さんを拝見するのは初めてだった。

明るい好青年の口から発せられるコメントは、あまりに自由で無敵だった。恐れるものがないのか?

平野さんがどうしてウルトラマンゼットのオーディションに受かったのか、なんとなく理解することができた。

風見しんごさん

ウルトラマンコスモスやウルトラマンタイガに出演なさっているという、風見しんごさん。

風見さんはウルトラセブンの世界を本格舞台化した作品「独りぼっちの地球人 feat.ULTRASEVEN」の主演らしいが、あまり情報が出てこない。

せっかくなら見てみたいのだが…。

潘めぐみさん

ウルトラマンが本当に好きなんだという気持ちが全身から伝わってくる、声優の潘めぐみさん。

特に印象的だったのは、ウルトラマンティガに対するコメントだ。

「男女が対等」というのは、おそらく潘めぐみさんにとって大事なキーワードなのだろう。

感情があふれ、涙ながらにティガの最終回について語る潘めぐみさんのコメントからは、言葉という記号にはとても置き換えきれない熱い感情が伝わってきて、TVの前で見ていた私も思わず涙ぐんでしまった。

有識者の方から教えていただいたが、ティガにはイルマ・メグミ氏という隊長が登場し、女性隊長はウルトラシリーズの特捜・防衛チームでは初めてだという。

36歳という年齢、シングルマザーという設定は画期的に思うが、これは1996〜1997年頃の世相を反映したのだろう。

男女雇用機会均等法が施行されたのが1986年であり、女性の社会進出を後押ししたとされるバブル景気は、1986年12月〜1991年2月までとされる。

この時期のアニメ作品のキャリアウーマンといえば、「新世紀エヴァンゲリオン」(1995年)の葛城ミサトや赤木リツコが思い出される。

スタジオジブリの「魔女の宅急便」(1989年)も、働く女性の物語だ。

キャリアウーマンとはちょっと違うが、自立した女性が戦う物語としては「美少女戦士セーラームーン」(1992年)もそれにあたるだろう。

もちろん、昭和時代からフジ・アキコ隊員のように働く女性は登場していた。

だが、組織のリーダー職に女性が就くというのは、令和の現在ですら日本は国際的に見ても数が少なく、いわんや平成をや、である。

そんな中で、平成最初の作品であるウルトラマンティガに登場したイルマ隊長の存在は、女性たちにとって大きな意味を持っていたはずだ。

サブカル作品と女性の社会進出の関係について調べると面白そうだが、今回の記事の主旨ではないので、それはまた別の機会に譲ることとしたい。

佐野史郎さん

「全ウルトラマン大投票」を見ていてよかったと思ったことの1つが、佐野史郎さんのウルトラマン語りを聞けたことだ。

私は佐野史郎さんがウルトラマンの大ファンということを存じ上げなかったが、この2時間を見ただけで、いかに佐野さんがウルトラシリーズへ大きな愛を抱いているのかを十二分に感じることができた。

「ウルトラQ」に登場したケムール人は古谷敏さんが演じておられ、ケムール人の存在がウルトラマンへどうつながっていったかといったお話など、大変勉強になった。

佐野史郎さんは、最後に「ウルトラマンは古事記だ」とおっしゃった。

古事記は日本最古の歴史書といわれ、神話や伝記を現代に伝える。

半世紀を超える歴史を持つウルトラマンのシリーズは、超人の活躍を主軸に、人々の悲喜交々、何らかの問題の象徴である怪獣や敵性宇宙人、当時の社会背景、作り手の問題意識、テクノロジーの進化などを描き出し、現代に伝えている。

「子どもたちのためのエンターテインメント作品」という枠を超え、古事記のような「歴史書」としての役割を、確かに持っているのかもしれない。

「全ウルトラマン大投票」感想の総括

「全ウルトラマン大投票」、本当に見てよかったと思える番組であった。

番組の最後には、ウルトラマンティガを真ん中に、ウルトラセブン、ウルトラマンゼット、ウルトラマンゼロ、そしてウルトラマンが並んで手を振ってくれた画が見られて、とても幸せだった。

ウルトラマンシリーズの最大の強みは、昔の作品のウルトラマンたちを今の作品に再登場させ、活躍させられることだと思っている。

そのため、今回のような人気ランキングにも昭和、平成、令和のキャラクターたちが入り交じることになり、正直ランキングの行方がどうなるのか、まったく想像がつかなかった。

物語として面白いだけでなく、キャラクターそのものの人気も時代に関係なく高い。
これはディズニーやアメコミに通じるものがあり、キャラクターIPとして理想的といえよう。

額に入れて飾りたいウルトラショット。

私は今回、ウルトラマン、メフィラス星人、ジェットビートルに投票した。

シン・ウルトラマンやウルトラマンデッカーが対象作品に入っていれば、リピアーやデッカーにも投票したが、残念ながらランキング投票対象から外れていたために投票することができなかった。

もしまた全ウルトラマン投票が放送されるとしたら、次はぜひ私の始まりのキャラクターであるリピアーやデッカーたちにも投票したいと思う。

デッカーに投票したかったよ…。

私はTwitterで実況しながら番組を見たが、タイムラインの流れはまさに激流であった。

それだけウルトラマンの愛好家たちが同時に番組を見て、発表されるランキングに心を躍らせ、自分の推しの魅力や作品にまつわる思い出話を楽しそうに話したということだ。

番組終了後のTwitterでは、番組出演者やウルトラ作品に出演した俳優の方々、製作陣の方々などによる喜びの声やコメントがあふれていた。

改めて、ウルトラシリーズが持つ50年以上の歴史を感じ、作品に関わって作り上げてきた人々の存在を感じ、作品を楽しんで愛してきた人々の熱量を感じた。

タイムラインからも伝わってくる、ウルトラマンシリーズへの愛と熱量。

その空間は、私にとって大変心地よいものだった。

番組を見ていた2時間は本当に楽しかったし、その後も興奮さめやらぬままTwitterに張り付いてウルトラマンの話をしていたら、あっという間に1時間以上経ってしまった。

本当に楽しい時間だった。

ウルトラマンを知ることができて、心から良かったと感じる。

司会の西川さん、杉浦さん、番組進行をありがとうございました。

ゲストの皆さん、楽しいトークをありがとうございました。

そしてNHKさん、素晴らしい番組を本当にありがとうございました。

改めて「ウルトラマンを好きになれて良かった」という思いを噛み締めることができました。

見逃し配信もいずれやってくださると嬉しいです。

最後に、今年の年末のNHK紅白歌合戦では、ぜひウルトラマンとウルトラ怪獣、そしてタローマンを共演させてください!

何卒よろしくお願いします!